台風シーズンがやってきました。5月初めにも強い風が吹き、いくつかの被害が報告されていますが、みなさんのご自宅は大丈夫でしたでしょうか?
そこで今回は、台風被害(風災)の特集をします。その鑑定方法の基本は「損害保険鑑定方法」と同じですが、「20万円以上の損害」が生じていなければ、保険金の支払いの対象とならないという特徴があります。ただし、団地保険や積立団地保険では、3,000円の免責金額のみで「20万円以上の損害」という条件はありません。したがって3,001円以上の損害になった場合に保険金が支払われます。
損害保険では約款上、台風、強風、せん風、暴風、暴風雨等の被害を風災と呼びます。それらの形態としては次のような状態があります。
1、風による直接被害
風の力により目的物件が直接被害を受けた状態。たとえば、強風により瓦などの屋根材が吹き飛んだ状態などです。
2、風により吹き飛ばされてきた物体の衝突による被害
風により他から飛ばされてきた物体が目的物件に衝突し、被害が生じたもの。たとえば近隣の家の屋根材等が破損し、それが自宅に衝突し、損害を受けた状態です。
なお、この場合の風による被害は「異常気象下における損害」が対象になります。「異常気象」とは近隣の被害状況、その地域の過去および最近の気象状況を調査し、その原因となった気象が異常気象か否かを個別に判断するものとされています。したがって、風による被害はかならずしも「台風○号」と名のついている必要はなく、局地的におきた竜巻や突風による被害も保険金支払いの対象となります。
以上の事故による損害額が20万円以上になった場合に損害保険金が支払われることになります。
火災保険において、台風や強風、突風、竜巻(付け加えるならばひょう害や雪害も)などで保険金が支払われるのは損害額が20万円以上となった場合です。これを損保業界では20万円フランチャイズと呼んでいます。
20万円以上の損害かどうかは、基本的に修理見積書をみて、20万円以上の金額であるか一応は判断できますが、この場合正確に言うのであれば修理や復旧のためのはつりや解体費、片付け費用は損害額には含みません。例えば、屋根のちょっとした損害を修理する工事に「瓦を全部剥がさないと、、、」などの状態では保険金は支払われないことになります。いうまでもないことですが、修理見積り書の金額が「20万円以上の損害」となっていても、異常に高いと判断されれば保険金支払いの対象にはなりません。
また、その「20万円以上の損害」の認定は減価償却後の金額ということです。時価保険では、損害額も時価ベースで査定(火災保険の鑑定(査定)方法を参照)されますから、「20万円以上の損害」の認定も時価でなされます。したがって、もし見積り書の金額が20万円ピタリだとしたら、原則的に保険金支払いの対象にはならないことになります。なぜなら、その金額から経過年数に応じて経年減価されるからです。しかも、その見積り書には解体費などが含まれていると思われ、それらの額も「20万円以上の損害」には含まれません。(ただし、損害率や小額損害の場合、経年減価は省略されることがあります。)
この「20万円以上の損害」は同一構内にある目的物件ごとに認定されます。たとえば建物と家財に保険がついていた場合、建物の損害が10万円ほどの損害のみだとしたら保険金支払いの対象とはなりませんが、家財の損害が10万円以上の損害が生じていたとしたら、20万円以上の損害となるため保険金の対象となります。また、同一構内にある目的物件は各々別の保険会社で保険がついていても20万円以上の損害が生じていれば保険金支払いの対象となります。
風による損害で、建物内部へ侵入した雨による損害は「風災」による損害とされるのか?という問題ですが、風により、屋根材などが吹き飛ばされて建物内部の内部造作(天井、壁等の濡れ損など)は保険金支払いの対象となりますが、窓を閉め忘れたところから、雨が吹き込んだ損害等は保険金支払いの対象とはなりません。ただし、窓ガラスが強風により破損し、そこから雨が吹き込んだ損害は対象となります。
「台風の被害はあったが、はたしてこれは保険の目的なのか?」と疑問に思うものがあると思いますが、当然です。素人の鑑定人や調査員も間違えている例がよくあるからです。少しでも疑問に思うなら、異議をとなえるべきだと思います。
門、へい、かき、物置、車庫
住宅火災や住宅総合は基本的に含まれます。これらの保険では特約で除外しないかぎりは対象となります。反対に普通火災、店舗総合、長期総合、団地保険などは特約でこれらの物件を含むという契約をしておかなければ対象とはなりません。保険契約を確認しておきましょう。
エアコン、建具、畳、造作など
エアコンは建物に含まれるのか?家財に含まれるのか?よく、聞かれますが、建具、畳、造作などのように基本的に建物に含まれます。ただし、賃貸住宅に住んでいる賃借人の所有するエアコンなどの設備は家財となります。
看板、日除けテント
ビルの屋上看板やビルの外壁に取り付けられた看板のように建物に固定された看板、日除けテントは原則的に建物に含みます。但し、テナントビルなどの賃借人が所有する場合は賃借人の什器・備品という取扱になります。店舗の入り口の前に置いておくような移動式看板は建物内部に収容していた場合に限り、什器・備品としてあつかいます。なお、建物の外に置いておいて損害が生じたものは什器・備品でも、建物にも含まれませんのでご注意ください。損害が生じる可能性が高くなるからです。
保険会社側を驚かさない
「どうせ、減らされるんだから高めに見積もって」と契約者や業者の中には考える人がいますが、それはやめておいたほうがよいと思います。法外な請求をしてもよいことは一つもないと心がけましょう。また、過剰な修理や便乗修理をして保険会社側を不必要に驚かせるのもやめておいたほうが良いでしょう。
鑑定人や調査員は現場を調査したら、保険金支払いの見込み額をたてます。たとえば鑑定人などが30万円の見込み額をたてていたとして、修理見積り書が100万円あがっていたとしたら、保険会社はどう思うでしょうか?「こんな請求をするヤツはけしからん」と、いうことで、査定がきびしくなること必至です。例えば、 損害が屋根の一部にも関わらず、瓦の全交換の見積り書を提出する人もよくいますが、契約者本人に便乗修理をしようという気はなく、損害箇所の修理だけの分の請求をしてるつもりても、保険会社では過剰な請求をしているとみられないとも限りません。その結果、保険会社側が過剰に身構えてしまうことになり、査定がきびしくなることになるのです。
修理業者のいいなりにならない
それと、修理業者は注意して選びましょう。修理業者は大工事にしたほうが利益をだせるので、当然大工事を勧めます。しかし、その見積り書をそのまま保険金請求のときにつかうと、保険会社では過剰請求とみられるおそれがあります。業者のいいなりになるのはやめておいたほうがよいでしょう。とくに、台風などの広域災害後、「家の点検を無料で実施しています。」などとくる業者はたいてい高い見積もりをだしてきます。その場合も保険会社を過剰に身構えさせる結果となってしまうかもしれません。
保険というものは、事故がおきてから契約者が満足できるかどうかがすべて、といっても過言ではありません。以上のことを踏まえ、一番もめない保険金請求のしかたは、鑑定人などが損害調査にきたときに、一緒に損害箇所を確認したうえ、(できれば鑑定人や調査員にに見込み額をだしてもらい)、その範囲で修理業者に適正な金額で見積り書をだしてもらうことです。
そうすることにより保険会社との無用なトラブルを避けられるでしょう。