復活!!きいくにドット・コム緊急企画
無料損害保険相談室のまとめ

 「平成16年新潟県中越地震」そして「福岡西方沖地震」の被災者の皆様へ心からお見舞い申し上げます。
さて、近年は数々の台風と新潟県中越地震、福岡西方沖地震、また、海外ではスマトラ沖地震など多くの被害をもたらした広域災害が発生しています。当事務所は新潟県中越地震以降、「きいくにドット・コム無料損害保険相談室」と題し、相談を受け付けました。そして当企画は大反響のうちに終了しました。
 今回は、そこで質問の多かった地震や台風の自然災害時における賠償問題の対処法を特集します。現在においてもこの問題に直面しているかたなどはこれを参考にしていただけたら幸いです。
 なお、意外なことに「全損、半損、一部損の認定に不満あり」の相談はありませんでした。
ところで義援金の支給の際、「市町村の査定に不満続出」などと新聞誌上にたくさん報道されていましたが、地震保険の査定基準を使えばいいのにと思いました。同時に職員の査定能力の向上のため前もって研修を実施しておくべきでしょう。
 *このページで「地震」と表現してあるのは、新潟県中越地震や福岡西方沖地震クラスの大震災のことです。

自然災害における賠償問題の対処法

地震と台風、同じ自然災害でも異なる取扱!車両保険上の落とし穴
 やはりというか、「無料損害保険相談室」で多かったのが、この質問でした。とくに地震災害において、建物などの工作物や立木、擁壁などが倒壊し、それが自動車にぶつかったために損害を被った場合、自動車の損害の対処はどうするかと言えば、問題は複雑です。基本的に建物などの所有者に賠償責任はありませんし、ならば自動車の所有者としては自分の車両保険でなんとかなるのかと思えば、「地震担保特約」がついていないかぎり、保険金は支払われないのです。台風被害などでは支払いの対象になるというのに、、、。
 自然災害は誰のせいでもありませんが、このような問題もあるのです。
 

自然災害における賠償問題の基本的な考え方

基本的に賠償責任なしだが
Q 今年の台風23号でとなりの店の看板が倒れてしまい、自宅の外壁に衝突し、損害が生じてしまった。その修理費は自分の保険でまかなうのではなく、となりの店がもつというのがスジでは?

A 「無料損害保険相談室」ではこれに関連したご質問がたくさんありました。となりの店に「損害賠償責任」があるかがポイントです。民法709条の損害賠償責任の要件として「故意または過失によって」とあります。「故意」とは簡単に言えばワザとやること、「過失」とはミスのことです。原因が台風であれば故意や過失はありません。したがって相手には損害賠償責任はないことになります。
 ただし、台風が原因ならば「故意」は問題になりませんが、過失があるかどうかが問題となることがあります。その場合、相手に修理費などの損害賠償を請求するには相手の「過失」を被害者自身が証明しなければなりません。たとえば、「以前からその看板が壊れかけていたのを開いてが放置していた」とか、「その看板が移動式のたて看板で、台風がくるまえにしまっておけたはず」とか証明ができればよいのです。その場合はとなりの店に損害賠償責任があるものと思われます。
 しかし、この件についてはご自分の保険をつかえるかを一番考えなければならないことだと思います。なぜなら相手の「過失」を証明しても、相手が「台風のせいで、自分の責任はない」とつっぱねれば、裁判を起こす以外なく、その結果がでるまでには多大な時間と費用がかかることがあります。また、裁判で相手の「過失」が認められても、台風がからんでいるだけに、すべての過失が認められるという保障はありません。したがって、この台風が原因での事件では第一に自分の保険を使うことを考えることが懸命なのです。
 ただし、台風被害は「20万円以上の損害」という要件がありますから、保険金支払いの対象にならない場合があります。その場合はとなりの店との話し合いが必要でしょう。そうすれば、相手が修理代を支払う場合もあろうし、少なくとも相手も看板などの管理を改善するなど,今後の対応に変化がでてくるでしょうから。

自然災害における損害保険の役割
 ところで、この事件では以下の問題も含んでいます。
@自分の住宅総合など住宅に関する保険をつかいたくない
A逆に台風被害で自分の家の屋根材などが台風でとばされたのだから、自分の保険で相手の修理費がだせないものだろうか?
ということです。
 @の問題は自分の保険を使えば次の保険料が上がるのではないか?とご心配されているのだと思います。しかし、火災総合保険では自動車保険のような等級制をつかっているわけではありませんので個別に保険料があがることはありません。
 Aの問題は火災総合保険といえども、第三者に保険金を支払う保険は基本的にありません。また、原因が台風であるなら、前述の「損害賠償責任」がないかぎり相手の修理費を支払わなければならない根拠はないのです。したがってこのように台風の被害の事件であれば、相手に被害にあった建物についている保険で対応してもらうことを第一に考えるべきです。ただし、「損害賠償責任」があれば個人賠償責任保険で対応できる場合があります。その場合、やはり前述しました「過失」があるかがポイントとなります。

当事者の話し合いを第一に考えよう

崩れてきた土砂の撤去費用はだれがもつ?
 この自然災害の賠償責任問題は被害者対加害者がはっきりしている事件などよりも問題は複雑です。例として、土砂崩れが起きた場合の復旧費の負担の問題があります。とくに崩れた土砂の撤去費用はどうするかが問題です。
 仮にAさんとBさんという当事者がいて、地震によりAさん所有の崖が崩れ、Bさん所有の住宅が全壊したとします。Bさんの住宅の修理費も大変ですが、くずれた土砂の撤去にも多額の費用がかかります。この場合、どうするのでしょうか。Bさんとしては全壊した住宅の復旧をするまえに崩れた土砂の撤去をしなければならないでしょうし、その上原因が地震なので地震保険に加入していたとしても復旧費の全額をまかなうことはできません。
 この場合、基本的にAさんの責任は崩れた崖の土砂の撤去のみで、壊れた住宅の復旧費までには及びません。理由は前述しました賠償責任がない(原因が地震なので故意も過失もないから)からです。そこでBさんとしては「壊れた住宅はともかく、崩れた土砂はAさんのものなのだから、Aさんが土砂の撤去費用をもつべきだ」と請求したとしても、Aさんとしては「撤去費用が高額すぎて払えない」といわれたら、その解決はいかにしてするでしょう。
 その場合、最初はやはり話し合いにより解決を図ることが大事で、もし、その話し合いがうまくいきそうなら、協定書や合意書で「Aは崩れた土砂の撤去費用として、Bに金○○円をしはらうものとする。ただし、平成○年○月○日に金○○円を支払い、残金○○円を毎月金○○円の分割払いとする」とかの条項を入れるようにすればよいでしょう。そのとき、県や市町村などの自治体にはその撤去費用の補助金や低利の融資制度などがあると思いますのでそれでまかなえるか勘案して金額をきめるとよいでしょう。(念のために「BはAに対し、Bの住宅に対する賠償責任はないものと認め、Aに対し土砂の撤去費用の他の一切の請求をしない」との条項を設けておいたほうがよいでしょう。)
 なお、話し合いが不調に終わりそうなら、最初は調停など裁判外の手続を考えるべきでしょう。
話し合いの席に呼び出すには
 ところでこの話し合いでは、通常の被害者対加害者のはっきりしている事件とは違って特殊なのは、お互い自分の主張を強く言いづらいことでしょう。BさんはAさんを「加害者」と呼ぶにはどうかと、、、原因が地震だけに強く言えませんよね。賠償責任保険でも対象外ですし。一方、Aさんとしても自分には責任はないと認識しつつも、一方で自分の土地の土砂でBさんの住宅をつぶしてしまったのだから責任を感じていると思います。まともな人なら。その場合、Bさんと顔をあわせづらくなっている心理状態かもしれません。そのため、お互いに顔をあわせづらい状態になっている場合があります。
 その場合、お近くの行政書士などに話し合いの場を設けてもらってはいかがでしょう。(最初から弁護士がでてくると、相手に威圧感をあたえてしまうかもしれませんから)ただし、依頼人の立場をよく考えてくれる行政書士にしないと火に油を注ぐ結果にもなりかねないので、依頼者としては充分、その状況を説明した上、相手に対してソフトに、そして話し合いの場を設けるだけで一方に肩入れしないことを強調した上、話し合いの趣旨を相手に説明してもらうと良いでしょう。
 そして、話し合いが成立しそうならその場で合意書を作成してもらえばよいのです。
 

どうでしょう?この1ページに自然災害下の賠償問題の対処と損害保険についての大部分が凝縮されていると思いませんか?

     これからも きいくにドット・コムをよろしくおねがいします。
               http://www.kiikuni.com/


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