木造建物の損傷認定の方法

 前述したように、地震保険では火災保険の査定方法と違い、基本的に軸組、基礎、屋根、外壁の4項目の損傷箇所を確認し、査定されます。それらの箇所の損害の程度(これを物理的損傷割合と呼びます。)により損害割合を算出し、それを「全損・半損・一部損認定基準表」に当てはめ、その損害割合の合計額で「全損」「半損」「一部損」の認定が行われます。
 基本的にこれだけなので火災保険ほどの鑑定技術は要求されてはいません。大規模災害ならではの簡易的な査定方法といえるでしょう。この査定方法でも決して被保険者に不利にはならないように考慮されてつくられた査定方法だとのことです。
具体的な損傷の認定
@軸組
 柱の折れ、ほぞの折れ等は損傷柱本数1本と見込まれます。ほぞの外れについては、外れた部分に折れやわれが確認できなくても、一方に無理な力が働いている場合が考えられるため見えない部分で折れやわれが発生している可能性があり、それも損傷柱に含めるべきでしょう。阪神大震災でも、みるからに建物が傾いているように見える物件で軸組の損傷が確認できたのが1本だけ、というものがありました。したがって実際の査定ではそれらを考慮に入れるよう調査員(鑑定人とは限らない)に主張するべきです。
A基礎
 ひび割れ、破損1箇所当り、外周布基礎長さ1mの損傷と見込む。阪神大震災級の地震ではほとんどの物件に換気口付近にひび割れが発生していました。
B屋根
 屋根材(瓦、スレート、金属板)が剥離・破損し、補修を要する面積を求める。
C外壁
 モルタル塗、漆喰塗等の外壁
一、縦・斜めのひび割れ、浮き、剥落の損害を補修面積(傷を囲む長方形)でとらえ、それに平屋3m、2階建は階別に3mを掛けた面積を損傷外壁面積とする。
二、外壁1面の60%以上に損傷がある場合、その面については全損とみる。
ボード類
一、損傷ボードの取替えは1枚単位
二、ボード自体に損傷がなくても、そのボード接合部に損害があれば取替えが必要と判断しする。
三、外壁1面の60%以上に損傷がある場合、その面については全損とみる。
以上の認定を行い、主要構造部の物理的損傷割合をもとめます。
全損、半損、一部損の認定方法
 以下の表により、物理的損傷割合のパーセンテージを求めた割合をさらに「全損・半損・一部損」の認定基準表に当てはめ、その数値の合計が全損50%以上、半損20%以上50%未満、一部損3%以上20%未満であれば保険金がおりることになります。(以下の表では「基準表による損害割合(%)の合計が全損、半損、一部損に該当するかということです。)

主要構造部 物理的損傷割合(%) 基準表による損害割合(%)
軸組 損傷柱本数/全柱本数 基準表の損害割合にあてはめる
基礎 損傷布コンクリートの長さ/外周の長さ         〃
屋根 屋根の葺き替え面積/全屋根面積         〃
外壁 損傷外壁面積/全外壁面積         〃
基準表とは次の「全損・半損・一部損認定基準表(木造用)のことです。
           全損・半損・一部損認定基準表へ

 以上で地震保険金が算出することができます。
 査定方法は簡単なのですが、割合の数値がいろいろあるので慣れていないと難しいかもしれません。たとえば、全損・半損・一部損の認定は物理的損傷割合の合計ではなく、基準表の損害割合の合計だということ(上の表参照)や損害割合の基準が居住用建物と生活用動産ではちがっていること(例えば建物では損害割合が50%以上で保険金額の全額が支払われるが、生活用動産では80%以上となっている。前ページ参照)、さらに、生活用動産が半損と認定された場合、損害割合が30%以上80%未満なのに、保険金額の50%の支払いになるということ(前ページ参照)等、結構複雑な制度となっています。
 なお、この査定方法は阪神・淡路大震災当時を基準としたものです。変更される可能性もありますのであらかじめ、ご了承ください。
 
                       戻るトップへ戻るお問い合わせ


左の表の「基準表による損害割合(%)の合計で全損、半損、一部損にあたるかがポイントです。